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好きなことを仕事にすること/小嶋佑樹さん

今回お話をお伺いしたのは、

前回の原田さんのさくらんぼ狩りで出会ったKoji Koji Mohejiこと小嶋佑樹さん。

優しい雰囲気でありながら、日本唯一のプロバグパイプ奏者、手回しオルガン奏者、ディアボロプレーヤーとして活躍し、数々の大会で成績を残されています。

バグパイプでは、2019年にスペインで開催されたFestival de Ortigueiraというケルト音楽のコンテストで日本人バグパイプ奏者として初優勝。

ジャグリングでは、2006年7月に開催されたIJAというジャグリング世界大会で準優勝。

「好きなことを仕事に」した小嶋さんの仕事に対する考え、姿勢、想いをお聞きしました。


▲ひとつのバッグに複数のパイプが付いたバグパイプ


――――小嶋さんはある時はバグパイプ、またある時は手回しオルガン、さらにジャグリングまでプロパフォーマーとして活躍されているわけですね。

僕は最初、音楽学校でドラムを専攻していてドラマーを目指していました。

学生時代から、作曲や変わった音に興味があって、その時に出会ったのがバグパイプ。

他にはない音や変わった形状の楽器に惹かれたんです。


バグパイプは、ヨーロッパのケルト音楽で使われている楽器です。

動物の皮でできた袋に複数のパイプをつないで息を吹き込んで、

溜まった空気を肘で押しながら演奏します。

循環呼吸みたいに、袋の空気がなくなったら息を吹き込んで、

吹き込んだら袋の空気を使ってを繰り返します。

なので音が切れることがないんです。もともと闘いのときに使われてたみたいですよ。

演奏者が倒れても後列の人がバグパイプをすかさず拾って音を鳴らしてたみたい。敵を倒しているはずなのに、音が鳴りやまないってホラーですよね(笑)


――――手回しオルガンとはどうやって出会ったのですか?

普段、ソロパフォーマーなので、楽器を演奏するか、ジャグリングをするか、どちらかしか出来ません。そうなると音楽に合わせてパフォーマンスをする事になるのですが、それだといつも同じパフォーマンスになってしまいます。生演奏ならではの、その時の空気感や、スピード感でパフォーマンスがしたいと思っておりました。それを実現する為には、どうしたら良いだろうか?と考えていた時に、以前より興味があった「手回しオルガン」という楽器に出会いました。

手回しオルガンはハンドルを回すだけで演奏することができるので、お客さんと一緒に楽しむことができます。

お客さんの手回しオルガンに合わせて、バグパイプを演奏したりジャグリングをしたりしますよ。

手回しオルガンは、穴のあいたカードを設置してハンドルを回して演奏します。

半自動演奏楽器と言われていて、自由に演奏できるわけではなく決められた音楽しか演奏できません。

オルゴールと管楽器の間みたいな感じ。


▲大きい手回しオルガン。筆者名取も体験させていただきました!


▲肩に背負える手回しオルガン。くぼみの部分に楽譜を挟み、写真右にあるハンドルを回して音を奏でます。


手回しオルガンで使う楽譜は既製品のコピーを海外で買って分解して勉強しました。今みたいにネットがここまで普及してなかったからね・・・。


▲手回しオルガンの楽譜。坂道の楽曲がたくさんありました!


そうそう、ジャグリングは学生時代に住んでいた団地の近くに東京チャンピオンだった友達がいて、その影響でやってみたらのめり込んじゃいました。

ジャグリングは、ディアボロというお椀を二つくっつけたような中国の駒を回転をつけて紐で高く飛ばしたりする芸です。

一番やってた時で毎日12時間くらい練習しました。

当時、団地の庭で練習してたんですけど住民の人が仕事に行って帰ってきても練習してるという感じでしたよ(笑)


――――これまでどんなところでパフォーマンスされてきたんですか?

日本は、北は北海道、南は沖縄まで!行ってない県はないんじゃないかなぁ。

海外は、アメリカ、サイパン、中国、ヨーロッパも沢山まわりました。

投げ銭で旅費を稼いで大道芸フェスティバルに出て演奏しました。

一番楽しかったのは、フランスかな。

個性的な人が多くて、こちらがお客さんに合わせにいかなくてもお客さんが合わせに来てくれたのでとてもやりやすかった。

▲ディアボロのパフォーマンスをする小嶋さん。


――――小嶋さんは山梨にUターンされてきたんですよね。なぜ山梨に戻ろうと思われたのですか?

僕の仕事は、全国を転々とする仕事なのでどこへでも行きやすいアクセスのよい場所が良かったんです。

山梨って「日本のへそ」とも呼ばれていて東に行くにも西に行くにも便利なことに気がついて。

――――小嶋さんは楽器を演奏するご職業なだけに物件探しには苦労したのではないですか?

まず条件としては、楽器を家の中に運べるか、車で搬入できるか、あとは音の問題。

物件探しは全国区で探していたので、ABCさんと出会ってこの物件を見つけられたのは奇跡的でした。

条件を満たした上に、お蔵を改装したデザインもとてもおもしろいなと思って気に入っています。


△小嶋さんの作業場。ただいま、オルガニートの作成中!


――――小嶋さんのように「好きなことを仕事にすること」は簡単な事ではないと思いますが、仕事に対する考えを教えてください。

実は僕、アルバイトも就職活動もしていなくて、父にそれよりもやりたいことを極めなさいと言われたんです。

父はフリーの写真家、母は専業主婦だったので、家族からの反対も特になかったかなぁ。

自分の職業は自分で選びたいし、楽しいことを突き詰めていったら、

結果的に自分の好きなことを仕事にできるんだなあと思いました。


――――私自身、就職活動中なのですが、理想と現実の壁にぶつかったことがあります。。。

小嶋さんなら、今から夢を目指す人に対してどのような言葉をかけますか?

好きなことを本気で突き進んだ人しか見えない景色、出会えない人は絶対にいるから、好きなことがあったらとことん全力でやってみたらいいんじゃないかな。


それから、僕は仕事をする上で、「なんで?」を用意しておくことが大事にしています。

なんでこのパフォーマンスをしたのか、なんでこの曲を選んだのか。

答えの内容は二の次で、聞かれたときにすぐに答えられるか、そのくらいきちんとした意思をもってやっているのかということが大事です。


好きなことを仕事にするには、その「なんで?」を常日頃から考えておくことが必要かもね。


――――小嶋さんの今後の目標はありますか?

山梨県に戻ってきて、まだ自分のやっていることを知らない人が多いんだなぁと実感しました。

以前、東京に住んでいた時も、愛知に住んでいた時も周りに芸人さんはいたのですが、

山梨はパフォーマーの数も結構少なくて。

手回しオルガン、バグパイプ、ジャグリングに興味を持ってくれる人が増えたらいいな!



取材:名取花


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