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恵林寺前の畳屋さんがお茶をはじめたわけ / 中村 浩二さん

武田信玄の菩提寺として知られる乾徳山恵林寺。

今の季節はとっても紅葉がきれいです。

赤や黄色に染まる恵林寺の参道。

昼間だというのに、水の音や木の葉っぱがカサカサなる音しかきこえない。まさに静寂とはこのことだろう。

その空間にいるだけで、こころが浄化され、良いモノだけが身体に吸収されるそんな場所だ。


そんな恵林寺の目の前に、ちょっと変わった畳屋さんがある。「タタミワールド」

「タタミワールド」は130年の歴史をもつ畳屋さん。

畳の製作技術は全国6位。主に、お寺や改装した古民家などに卸している。

店主の名前は中村浩二さん。

毎回おもしろい冗談をさらっと会話の中に混ぜてくる、ずっと話していても飽きない人。


△恵林寺でのお茶会も主宰している中村さん


そんな中村さんのお人柄もあって、中村さんの周りにはいつも人がいっぱい集まっている。

私も春から新入社員になったので色んなオモシロい人と知り合いになりたいんです、という話から、中村さんが主宰するお茶教室に参加させていただくことになった。


そもそもなぜ畳屋さんがお茶教室をやっているのか。

中村さんとお茶の出会いは、友人に誘われてお茶を自分でたてて自分で飲むことが出来る喫茶店にいったことだ。

もともとお茶に興味を持っていて、茶筅を振ってみたいという気持ちがあったそう。

その喫茶店で茶筅とお抹茶を買い、帰ってお母さんに伝えると「叔母の娘時代の茶道道具があるよ」とお母さんが道具を出してきてくれた。

そこからどんどんお茶の道にはまっていって、

普通は9年ではもらうことのできない「中村宗空」という名前までもっている。


「茶道」ときくと、どうしても敷居が高くてなんだか難しそうといったイメージがあるが、

中村さんが開くお茶教室はそういった縛りをなくした誰もが入りやすい教室。

例えば、一般的にお菓子は最初に食べてから、お茶をいただく(お茶の味を美味しく感じさせるために)が、

中村さんは、「そんなの一緒に食べた方が美味しい!」という。

まず最初にお茶を飲み本来の味を味わってもらい、その次にお菓子を出して、お菓子と一緒にお茶を飲み味わってもらうのが中村流。

「せっかく高価な美味しいお茶を出しているんだから、まずお茶本来の甘さ、香りを味わってもらいたい。」という思いがあった。

お茶は通常三口半で飲むのが常識とされているが、中村さんの場合、何口でのまなきゃいけないなどのルールはなく、自分の好きなタイミングでのんでよい。

そのおかげもあってか、ゆっくり味わうことができた。




今度から甘いものを食べるときはコーヒーじゃなくて抹茶派になりそう。

出してくださったお菓子は、三省堂の山茶花。


茶道をする上で大切なことは「合わせること」と中村さんはいう。

合わせるというのはつまり、「自分都合を捨て自分の器を広げる行為」だと教わった。

例えば、暑い夏の日、急いできた人にお茶をたてるとしたら

急いでいるだろうから、お茶が冷めやすいように底の広い器にしてあげる、

暑くてのどが渇いているだろうから、お湯の量はちょっと多めにしてあげるなど

人、状況、天気などに合わせてお茶をたてるといった気遣いが必要になる。

他にも、季節、時間、自然、お茶碗、棗など、「合わせる」ものは沢山ある。

中村さんが茶道を教える上で大切にしていることの一つだという。


このような気遣いは、日常生活にも直結するところがある。

家族や友達、会社の上司、お客さんなど、色々な人と接する中で、相手の気持ちを考えて行動することを茶道では鍛えることができる。

簡単にできるように見えて簡単ではない。


とても学びが多くて奥が深いお茶の道。

改めて新しいことを学ぶことはとても楽しいなと実感しました。


甲州市には、温泉、登山、果物といった有名な観光資源だけでなく、

地元の人しか知らないちょっとディープな文化まで広まっている。

日々いろんな変化があって、過ごしているだけでとても楽しいまち。

これからも、新しい文化が生まれそうな予感がする。

もっと、いろいろな世界のことを勉強して甲州市の深いところまで知っていきたいと思う。


取材:名取 花

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